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高応答度グラフェン/シリコン・ヘテロ構造導波路型光検出器

Nature Photonics 7, 11 doi: 10.1038/nphoton.2013.241

超高速光検出器、光変調器、波長可変表面プラズモンポラリトンデバイスなどのグラフェン系フォトニックデバイスが、近年急速に進歩した。これは、場によって制御されるグラフェンの強い光学応答から、大きな利点が得られるからである。今回我々は、近赤外から中赤外の範囲で動作するグラフェン/シリコン・ヘテロ構造フォトダイオードを実証している。このフォトダイオードは、シリコン・オン・インシュレーター(SOI)上のシリコン導波路にグラフェンを集積化することによって形成された。シリコン導波路によって、グラフェンシートに対して平行に伝搬するエバネッセント光の吸収が可能になる。これにより、室温において1.5 Vのバイアス電圧のとき、2.75 µmの光に対して0.13 A W−1という高い応答度が得られる。光電流のバイアス極性依存性が観測されたが、これは2つの異なる光吸収メカニズムに起因すると考えられる。すなわち、グラフェンにおける1.55 µmの直接遷移と2.75 µmの間接遷移である。今回の結果は、グラフェン単層構造体における面内吸収の利用を実証しており、グラフェン/シリコン・ヘテロ構造導波路において、中赤外検出に間接遷移を利用できる可能性も示している。

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