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誘電体構造体におけるひずみ誘起擬磁場とフォトニック・ランダウ準位
Nature Photonics 7, 2 doi: 10.1038/nphoton.2012.302
光周波数における磁気効果は弱いことで知られている。したがって、十分な効果を得るためには磁気光学デバイスを大きくしなければならない。グラフェンでは、不均一ひずみによって、実際の磁場と同様にふるまう「擬磁場」が誘起されることが示されている。今回我々は、フォトニック格子において光周波数でそのような場を誘起できることを実験的・理論的に示す。我々の知るかぎりでは、これは光学系における初の擬磁場の実現である。この擬磁場は、構造化された誘電体格子の空間スペクトルにおいて、バンドギャップで隔てられた「フォトニック・ランダウ準位」をもたらす。これらの高度に縮退した準位間のギャップが、横方向光閉じ込めにつながる。ひずみを利用することによって、光学系では本来利用できない非共鳴的方法で磁気のような効果を探究することが可能になる。また、ランダウ準位における高い状態密度を通して、周期構造より大きな場の増強とスローライト効果を、非周期的フォトニック結晶構造が実現できる可能性も示唆されている。これらのコンセプトを一般化して、光学ポテンシャルにおける物質波など、光学を超える系に適用することによって、純粋に周期的な構造体における物理現象とは根本的に異なる新しく興味深い物理現象がもたらされる。