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複数の非直交状態の識別に関して標準量子限界を破る受信機の実験的実証
Nature Photonics 7, 2 doi: 10.1038/nphoton.2012.316
究極の物理的限界に近い固有の量子不確定性(雑音)を持つ量子系の状態の測定は、技術面でも基礎的な面でも興味深い。量子雑音が存在するため、コヒーレント状態などの互いに非直交な量子状態を、完全な正確さで識別することができない。原理的には、非直交コヒーレント状態に関する最適量子測定によって、標準量子限界を超える状態識別感度が可能になる。究極の量子限界に近い感度レベルで複数のコヒーレント状態を検出できる量子受信機の実現は、量子増強測定に不可欠であり、量子通信や古典的通信の性能だけでなく将来の量子技術の実装も最適化できる。今回我々は、標準量子限界未満の誤り率で4つの非直交コヒーレント状態を無条件に識別する初の量子受信機を実証している。この受信機は、完全検出効率を示す理想的な従来型受信機で実現可能な誤り率の4分の1の誤り率を実現している。