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グラフェンナノ構造体における中赤外プラズモンの減衰経路

Nature Photonics 7, 5 doi: 10.1038/nphoton.2013.57

プラズモンは電子の集団振動の量子である。プラズモンがエネルギーを失う(つまり減衰する)仕組みは、プラズモニック科学技術において極めて重要な役割を果たす。グラフェンプラズモンは特に興味深い。その理由の1つは、減衰率が低い可能性があることである。しかし、これまでのところ、減衰経路は実験的にはっきり解明されていない。今回我々は、50 nm程度の寸法のグラフェンナノ構造体(モード面積約1 × 10−3 µm2)において中赤外(4~15 µm)プラズモンを実証している。さらに我々は、グラフェンに固有の光学フォノンと端部からの散乱による減衰チャネルを明らかにしている。グラフェンの光学フォノンの放出による減衰が許されている場合に、20 fs以下のプラズモン寿命が観測されている。さらに、グラフェンナノ構造体の下のSiO2基板における表面極性フォノンは、非極性のダイヤモンドライクカーボン基板の場合と異なり、プラズモンの分散と減衰を大きく変化させる。今回の研究は、サブテラヘルツから中赤外までの領域のプラズモニック導波路、変調器、検出器へのグラフェンの応用に向けて道を開くものである。

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