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光スピン・軌道トルクの実験観測
Nature Photonics 7, 6 doi: 10.1038/nphoton.2013.76
磁化の電気的制御や光学的制御は、スピントロニクスの研究と応用において、最も重要である。非相対論的な角運動量移動や、相対論的スピン・軌道結合は、強磁性体に流した電流が磁化へトルクを及ぼす効率的な手段になる。こうした現象の光版、つまり、レーザーパルスによって励起された光キャリアが磁化にトルクを及ぼす現象を探すには、(Ga,Mn)Asのような強磁性半導体がモデル系として適している。今回我々は、(Ga,Mn)Asでの光スピン・軌道トルク(OSOT)の観測を報告する。この現象は、ヘリシティに依存せず角運動量を与えないポンプレーザーパルスによって励起された、非平衡光キャリアのスピン・軌道結合によって起こる。我々の時間に依存する磁化軌跡の測定では、OSOTの特徴は、競合する熱励起機構とは明瞭に異なっていた。OSOTは、微視的磁気パラメーターを適切に制御すれば、(Ga,Mn)As材料において支配的にさえなりうる。