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フェルスター共鳴エネルギー移動を利用したバルクヘテロ接合ポリマー太陽電池

Nature Photonics 7, 6 doi: 10.1038/nphoton.2013.82

高効率ポリマー太陽電池(PSC)を実現するには、重要な課題が2つある。すなわち、光のスペクトル吸収の範囲の拡大と、光生成励起子の効率的な収集である。今回我々は、スクアライン色素を組み込み、フェルスター共鳴エネルギー移動を利用するヘテロ接合ポリマー太陽電池について報告する。近赤外領域におけるスクアラインの吸光度が高いため、太陽電池のスペクトル吸収の範囲が広がり、電荷輸送を向上させる規則正しいナノ構造体の開発が促進される。フェムト秒分光で調べたところ、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)からスクアラインへの高効率(最高96%)の励起エネルギー移動がピコ秒の時間スケールで起こることが明らかになった。さらに、電力変換効率が38%増加して4.5%に達したことが実証され、この系では長距離励起子移動が促進されたことが示唆される。この構造は、従来のマルチブレンド系を超えており、別々のスペクトル応答を示す複数のドナー材料が相乗的に機能することを可能にするため、光の吸収と変換を向上させることができる。この結果は、高効率ポリマー太陽電池の開発に向けて新たな道を開くものである。

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