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キャリアエンベロープ位相が金属ナノ構造からの高強度場光電子放出に及ぼす効果

Nature Photonics 8, 1 doi: 10.1038/nphoton.2013.288

数サイクルのレーザーパルスを照射された鋭い金属ナノテーパー(ナノメートルサイズの先細形状物)は、持続時間がアト秒で指向性が強い、広がりの極めて小さなコヒーレント電子波束の発生源として注目されてきている。そうした電子波束を光で操作し、制御し、スイッチングすることができれば、ナノプラズモン場のダイナミクスの直接的可視化や、固体ナノ構造体における電子運動の実時間探測への道が開かれると期待されている。そうしたパルスは、鋭い金テーパーの近接場における、高強度場によって生じる電子のトンネリングと加速によって、駆動レーザー場の半サイクル以内に生成できる。今回我々は、そうした先端部から高強度場によって放出される電子の生成と運動に、レーザー場のキャリアエンベロープ位相が及ぼす効果を示す。サブサイクル領域での光電子放出の特徴であるプラトー(台地)状の光電子スペクトルの幅が、キャリアエンベロープ位相の変化とともに明瞭に変化することが観測された。この成果は、金属ナノ構造体の内部や周辺でのコヒーレント電子運動を極めて短い長さと時間スケールで制御することへの一歩になる。

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