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発光ナノ結晶を用いた寿命可変多重化

Nature Photonics 8, 1 doi: 10.1038/nphoton.2013.322

光多重化は光データ記憶、ドキュメントセキュリティー、分子プローブ、個別化医療向けのビーズアッセイなどの応用において重要な役割を果たす。従来型の蛍光カラー符号化は、スペクトルの重なりとバックグラウンド干渉によって制限され、識別可能なアイデンティティーの数が限定される。今回我々は、マイクロ秒領域の可変な発光寿命τを利用して、個々のアップコンバージョンナノ結晶を符号化できることを示す。単一のカラーバンドにおいて、25.6 μsから662.4 μsまでの範囲の10以上の寿命が異なるナノ結晶集団を生成でき、カラーと強度のどちらとも独立に、よく分離したそれらの寿命アイデンティティーを復号できる。このような「τドット」は、偽造に対抗するセキュリティーコードだけでなく、多チャネルバイオイメージング、スループットの高いサイトメトリーの定量化、高密度データ記憶に適している可能性がある。今回の実証結果は、発光シグナルの時間次元を加えることによって、光多重化の能力を拡張し、ライフサイエンス、医学、データセキュリティーに新しい機会を生み出している。

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