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散乱媒質内部の動的物体への時間反転適応摂動(TRAP)集光
Nature Photonics 8, 12 doi: 10.1038/nphoton.2014.251
散乱媒質内部で光を操作し集束する機能は、多くの応用が見込まれるため、長く待ち望まれてきた。現時点では、埋め込み型ガイドスターか仮想ガイドスターを用いて光子を誘導することが、散乱媒質の内部に光学的焦点を形成する実現可能な唯一の方法である。しかし、こうした方法は不便で、応用範囲が限られている。今回我々は、ガイドスターとして固有のダイナミクスを用いて散乱媒質内部に光を集束させる方式について報告する。我々は、散乱光の摂動成分を適応的に時間反転することによって、摂動源に光を集束できることを示す。また、この手法を用いて、動く対象に対する非侵襲的動的集光と、強散乱媒質によって不明瞭化した時間変化する物体のイメージングを実証している。期待される応用範囲には、腫瘍の新生血管のイメージングやフォトアブレーションなどの生物医学的用途が含まれる。