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X線レーザーを用いた不均一な細胞小器官の高スループットイメージング
Nature Photonics 8, 12 doi: 10.1038/nphoton.2014.270
今回我々は、単一粒子回折イメージングにおける最も困難な課題のうち、少量の試料で多くの高品質回折パターンを収集する、混合試料の成分を分離するという2つの課題を克服している。この課題克服の実証には、カルボキシソーム(大きさにばらつきがある多面体の細胞小器官で、地球の40%の炭素固定を促進する働きをしている)を用いた。新しいエアロゾル・試料インジェクターによって、120 Hz で動作する線形加速器コヒーレント光源(Linac Coherent Light Source)を用いて12分で7万の低ノイズ回折パターンを記録することが可能になった。我々は、回折データからさまざまな構造を直接分離し、試料放出中にサイズ分布が維持されることを明らかにしている。また、位相回復を自動化し、ミッシングモードに起因する再構成アーティファクトを回避している。さらに、これまでX線レーザーでイメージングされた中で最も小さい単一の生体について、最高の分解能での再構成を実現している。こうした進歩は、フラッシュ回折イメージングによる正確な高スループット構造決定の基礎を築き、生物学などにおいて構造や構造不均一性を調べる手段をもたらすものである。