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単一および逐次多光子過程と競合するX線2光子吸収
Nature Photonics 8, 4 doi: 10.1038/nphoton.2014.10
X線自由電子レーザー(XFEL)が成功してから、非線形光学の最前線が硬X線領域へと広がった。最近、パラメトリック下方変換だけでなく和周波数発生も報告された。これらは最低次(2次)の過程であり、高次の過程はまだ調べられていない。今回我々は3次の過程、すなわちゲルマニウムによる5.6 keV XFELビームの2光子吸収を初めて観察した結果を報告する。2光子吸収が単一および逐次多光子過程と競合することが分かったが、そのパルスエネルギー依存性を分析して、固有の断面積を決定することに成功した。また、X線に特有の新しい機構と従来型の機構を比較して2光子吸収断面積を検討し、後者が今回の結果と一致することを示している。断面積を実験的に決定し、解明したことから、2光子吸収分光法が可能になると考えられる。今回の結果は、非線形ラマン効果や光カー効果など他の3次非線形光学過程のX線版が、分光法、イメージング、ビーム制御へのXFELの応用に利用できることを示している。