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光の有効磁束によって誘起される非相反位相シフト
Nature Photonics 8, 9 doi: 10.1038/nphoton.2014.177
光子は、磁場と直接相互作用しない中性粒子である。しかし、最近の理論研究で、光の位相が伝搬方向と共に変化する場合、光子の有効磁束が存在しうることが示された。この方向依存性の位相は、アハラノフ・ボーム効果の実験で電子について実験的に示されたように、有効磁場の存在を示している。今回我々は、光子を用いてこの実験を再現している。我々は、こうした有効磁場を作るために、シリコンベースのオンチップ・ラムゼー型干渉計を作製した。この干渉計は、原子状態の位相を調べるために従来から用いられているものだが、今回は、光子状態の位相を調べるために適用している。我々は、干渉計長さ8.35 mm、干渉縞消光比2.4 dBの非相反2π位相シフトに相当する0~2πの有効磁束を、実験的に観測している。この非相反位相シフトは、一般的なモノリシック集積型磁気光学材料に匹敵する。