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表面電荷再結合によって可能になった超狭帯域ペロブスカイト単結晶光検出器
Nature Photonics 9, 10 doi: 10.1038/nphoton.2015.156
三ハロゲン化有機鉛ペロブスカイトは、溶液プロセスで作製できる新しい安価な材料である。この材料は、紫色から近赤外までバンドギャップを調節できるため、高性能光電子デバイス用として高い関心を集めている。今回我々は、半値全幅が20 nm未満という非常に狭いスペクトル応答を示すハイブリッドペロブスカイト単結晶光検出器について報告する。ハロゲン化物の組成を変えることによって、溶液プロセスで合成した単結晶のバンドギャップが変化するため、応答スペクトルが青色から赤色まで連続的に調節される。この狭帯域光検出は、短波長光によって生成される結晶表面近傍の過剰キャリアの強い表面電荷再結合によって説明できる。バンドギャップ未満の励起によって生成された過剰キャリアは表面から離れたところに位置するので、印加電場の助けを借りて電極によってはるかに高い効率で収集される。今回の結果によって、狭帯域光検出器の新しい設計パラダイムが得られ、バックグラウンドノイズ発光の抑制を必要とする分野に幅広い応用が考えられる。