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ナノテクスチャーを有する薄膜におけるアンダーソン局在光子モードを介する完全吸収
Nature Photonics 9, 10 doi: 10.1038/nphoton.2015.159
吸収体層における光吸収の増大は、光起電デバイスや熱電素子など多くの応用において重要である。天然資源を効率良く利用する場合や、光起電デバイスにおける限定的な電荷抽出といった物理的制約がある場合、薄くて効率の高い吸収体が必要になる。吸収を増大させるためにさまざまな手法が用いられているが、その中で、ランダムなナノテクスチャーを有する界面における光の回折や局在化が、こうした用途向けに提案されている。既に市販デバイスに利用されているものの、ナノテクスチャー付き界面を持つデバイスの吸収増大機構は、依然として議論の的となっている。今回我々は、コヒーレント二次元ナノ顕微鏡法とコヒーレント光散乱法を用いて、市販の薄膜太陽電池に使用されているナノテクスチャー付きアモルファスシリコン層に、局在化光子状態が存在することを実証している。こうした状態における共鳴吸収が、長波長のカットオフ領域における吸収の増大の主な要因である。今回の観測結果から、高い効率で共鳴吸収が増大する機構は、アンダーソン局在(すなわち強い局在)によることが立証された。この機構は、今後の高効率吸収体層の設計に興味深い機会をもたらすものである。