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繰り返し率100 MHzの2サイクル以下の高出力中赤外パルス
Nature Photonics 9, 11 doi: 10.1038/nphoton.2015.179
中赤外(MIR)スペクトル領域に広がるスペクトルを持つ強力なコヒーレント光は、自然科学や生命科学の多くの用途に不可欠であるが、今のところ大規模なシンクロトロン放射光源からしか得られていない。今回我々は、持続時間が2サイクル以下、平均出力が0.1 W、スペクトル範囲が(−30 dBで)6.8~16.4 μmのパルスを発生させる小型装置について報告する。今回実証した光源は、このスペクトル領域では初めて、高出力、高繰り返し率、位相コヒーレンスを兼ね備えたものである。このMIRパルスは、カーレンズモード同期イッテルビウムドープ・イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Yb:YAG)薄ディスク型発振器の非線形圧縮パルスによって駆動される差周波発生(DFG)を経て生成される。得られた100 MHz MIRパルス列は、この領域で発光する最新の光周波数コムよりも数百~数千倍強力であり、分子指紋領域の分光測定に適した広いダイナミックレンジとともに、ハイパースペクトルイメージングや振動ダイナミクスの時間領域コヒーレント制御に適した理想的な条件をもたらす。