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量子エンタングルメントの損失の効果を取り消す
Nature Photonics 9, 11 doi: 10.1038/nphoton.2015.195
量子エンタングルメントの蒸留は、エンタングルメントの強さと純度を確率的に増やすことが目的であり、多くの量子通信や量子計算プロトコルの主要な要素になっている。エンタングルメントの蒸留は、通信線での損失のために必然的に起こるエンタングルメントの劣化に対処するため、量子中継器において特に必要である。今回我々は、連続変数エンタングルメントによく利用される光のアインシュタイン・ポドルスキー・ローゼン状態を、無雑音増幅を使って蒸留する。今回の手法の利点は、最初のエンタングルメントがどれほど小さく、損失がどれほど大きくても、エンタングルメントの巨視的なレベルを回復できることである。我々は、アインシュタイン・ポドルスキー・ローゼンモードの1つが、20という損失係数を経た後に、元のエンタングルメントのレベルを実験的に回復させた。我々が蒸留した状態のエンタングルメントのレベルは、同様の損失のある通信路を通した、いかなる状態の直接伝送によって達成できるレベルよりも高い。これは、実用的な連続変数量子通信プロトコルの実現への重要な一歩である。