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信号の乱れを監視しない実験的量子鍵配送

Nature Photonics 9, 12 doi: 10.1038/nphoton.2015.173

量子鍵配送(QKD)は、無限の能力を持つ敵対者に対抗して安全に秘匿通信を実現する方法である。過去30年間に提案され、実証された量子鍵配送プロトコルは、信号の乱れを監視し、漏洩情報量に上限を設けるものであった。今回我々は、最近提案された総当たり差動位相シフトプロトコルの実験的に実現したことを報告する。我々が用いた受信者側の装置では、光子は、遅延時間が異なる4つの干渉計の1つにランダムに導かれ、量子信号を構成する5つのパルスの、全ての対の組み合わせについて位相差が均一に測定される。漏洩量は、このランダム性のみで制限することができ、通信時間が有限で光子検出器がしきい値を持つことを考慮したときでも、安全鍵が抽出された。今回の結果から、信号の乱れを監視しないQKD実験が初めて実証され、安全な通信への新たな方向性が開かれる。

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