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散乱媒質における集光性向上のための光音響的に誘導される波面整形
Nature Photonics 9, 2 doi: 10.1038/nphoton.2014.322
生物組織などの強散乱媒質内部への非侵襲的集光は、非常に望まれているが困難である。最近、この限界に対処するために、超音波によって誘導される波面整形技術が開発された。しかし、これまでのところ、実施例の大半で集光分解能が音波回折によって制限されていた。今回我々は、散乱媒質において光回折限界集光を実現する非線形光音響誘導波面整形(photoacoustically guided wavefront shaping :PAWS)を報告する。我々は、グリュナイゼン緩和効果に基づいて強い非線形光音響信号を生成する高効率二重パルス励起法を開発している。これらの非線形光音響信号をフィードバックとして用いて、波面の反復最適化が導かれる。その結果、5~7μmのスケールの単一光スペックル粒子に、光が効果的に集束される。これは、音波焦点の約10分の1の大きさで、ピークフルエンスが約6,000倍に増大している。この技術は、組織内に限局した強い光焦点を必要とする多くの応用に役立つ可能性がある。