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X線超放射の重力偏向と相対論的偏向

Nature Photonics 9, 3 doi: 10.1038/nphoton.2015.7

異なる高度に置かれた時計は重力の影響で時を刻む速度が異なると、アインシュタインは予測した。この効果は、22.51mを超える高さで57Feメスバウワー分光法を用いて、またサブメートルスケールで異なる高度にある複数の正確な光時計を比較することによって観測された。しかし、重力効果や相対論的効果をもっと小さいスケールで検出する新方法を見いだすことに課題が残っている。今回我々は、核結晶をX線で調べることによってミリメートルからサブミリメートルのスケールで重力赤方偏移の研究を可能にし得る方式を検討している。さらに、結晶を回転させることによって、結晶内で相互作用するX線に、不均一な時を刻む速度を経験させることができる。我々は、時間に依存するX線の偏向によって、重力赤方偏移および特殊相対論的時間の遅れと量子干渉の関連性が明らかになることを見いだしている。今回の方式は、重力効果や特殊相対論的効果を精査する卓上型の解決策を提示するものであり、この解決策は現在の実験技術で実現可能なはずである。

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