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複数のドナーを用いた高性能バルクヘテロ接合型太陽電池
Nature Photonics 9, 3 doi: 10.1038/nphoton.2015.9
バルクヘテロ接合活性層に複数の吸収体ドナーを導入することによってポリマー太陽電池の吸収バンド幅を広げることは、有機半導体の吸収帯の狭さを解決する魅力的な手段である。しかし、複数のドナーの導入によって系が非常に複雑化してしまい、これまでの取り組みではわずかな成果しか得られていなかった。今回、吸収域と優先分子構造が異なるさまざまな材料を利用して、2種類のドナーを導入したデュアルドナー(dual-donor)ヘテロ接合型ポリマー太陽電池と多種類のドナーを導入したマルチドナー(multi-donor)ヘテロ接合型ポリマー太陽電池の研究を行った。本研究では、相性の良いポリマードナー同士は調和して共存するが、相性の悪いポリマー同士を混ぜ合わせると分子が大きく乱れ、デバイス性能が制限され得ることが明確に示された。こうした結果から、有機太陽電池において吸収の限界を克服するとともに高い性能と製造の容易さを同時に実現するための、複数ドナーバルクヘテロ接合の一般的な利用の指針が得られる。