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単散乱波の集団的蓄積を用いた散乱媒質深部のイメージング
Nature Photonics 9, 4 doi: 10.1038/nphoton.2015.24
光学顕微鏡法には、イメージング対象が厚い散乱媒質に埋もれている場合、対象によって1回しか散乱されない単散乱波よりも強い多重散乱波が支配的になるため、分解能が低下するという欠点がある。今回我々は、散乱媒質深部をイメージングする際に十分な光学分解能を維持する手法について報告する。我々は、時間ゲート検出と空間的入出力相関を用いて、単散乱波の特性である面内運動量を保存する反射波を特定した。さらに、超放射に似た単散乱波の集団的蓄積を実現することによって、多重散乱バックグラウンドに対する単散乱信号の比を3桁以上高めた。その結果、1.5 μmという回折限界に近い分解能で、散乱平均自由行程の11.5倍のイメージング深度が実現された。単散乱波と多重散乱波を区別する我々の手法は、深部組織イメージングや、光と複雑媒質の相互作用の物理の研究に向けて、新しい道を開くであろう。