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フォトニック結晶と結合した低温原子を用いる量子多体モデル
Nature Photonics 9, 5 doi: 10.1038/nphoton.2015.57
低温原子を用いた強く相互作用する量子系のシミュレーションは、物理学の興味深い未開拓領域である。しかし、原子は、名目上は中性の点粒子であるため、生じ得る相互作用のタイプが制限される。今回我々は、ナノフォトニック系の近傍に捕捉された低温原子という強力な新プラットフォームを用いてこの限界を広げることを提案する。これによって、原子のスピン自由度と運動と光子が長距離にわたって強く結合した新しい量子物質を実現できる。この系では、フォトニック結晶近傍に捕捉された1個の原子が、原子位置の周囲に調節可能な局所的共振器モードを誘起する。我々は、この実質的な共振器が共振器長の範囲内で他の原子との相互作用を促進させ、そうした効果を現実的な不完全性に対してロバストにできることを見いだした。最後に我々は、原子との結合が既に実験的に実証されている一次元フォトニック結晶導波路を用いれば、そうした現象を実現できるはずであることを示す。