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配向一次元リボン構造と良性の結晶粒界を持つ薄膜セレン化アンチモンの光起電力

Nature Photonics 9, 6 doi: 10.1038/nphoton.2015.78

Si、GaAs、CdTe、Cu(In,Ga)Se2などの無機吸収材を用いる太陽電池によって、高いデバイス効率と安定性が可能になる。こうした結晶の構造は三次元的であるため、結晶粒界にダングリングボンドが必然的に存在する。このダングリングボンドは、再結合損失を介して、デバイス性能を大きく低下させる。従って、この問題に対処するには、単結晶材料を成長させたり、結晶粒界における欠陥を不活性化させたりする必要があるため、工程がより複雑になり費用が高くなる。今回我々は、約1.1 eVという太陽電池に最適なバンドギャップを持ち、単純で無毒で安価な材料であるセレン化アンチモン(Sb2Se3)が、結晶構造が一次元的であるため本質的に良性の結晶粒界を示すことを報告する。我々は、単純で高速(約1 μm min-1)な急速熱蒸発過程を使って、結晶を基板に垂直に配向して成長させ、保証素子効率が5.6%のSb2Se3薄膜太陽電池を作った。今回の結果は、Sb2Se3、SbSeI、Bi2S3などの一次元結晶は、太陽光発電用途に有望であることを示唆している。

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