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溶液プロセスで作製したハロゲン化鉛ペロブスカイトによるX線光子の検出
Nature Photonics 9, 7 doi: 10.1038/nphoton.2015.82
従来型固体半導体を用いた集積型固体X線光子検出器が開発されたことによって、写真乾板に基づくX線撮影法から、血管造影法やコンピュータートモグラフィーなどのリアルタイム医療診断ツールへの進化が可能になった。最近では、可視や近赤外スペクトル領域で動作するオプトエレクトロニクスデバイス用として、溶液プロセスで作製した有機半導体や無機半導体も多大な注目を集めている。今回我々は、そうした安価な半導体は、光子の電流への直接変換によるX線光子の高感度検出に利用できることを示す。特に、ヨウ化鉛メチルアンモニウム(CH3NH3PbI3)は、高速光応答と大きなX線吸収断面積(Pb原子とI原子が重いため)という魅力的な性質を併せ持っている。ここでは、溶液プロセスで作製したフォトダイオードとフォトコンダクターを提示している。これらのデバイスは、高いX線感度(最高で25 μC mGyair −1cm−3)と高い応答性(1.9 × 104 carriers/photon)を示した。こうした値は、現行の固体技術で作製したデバイスと同等である。