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量子ドットを組み込んだ単一ナノワイヤーにおける室温レーザー発振
Nature Photonics 9, 8 doi: 10.1038/nphoton.2015.111
半導体ナノワイヤーレーザーは、ナノフォトニクス、ナノオプティクス、ナノバイオテクノロジーの分野において、超小型高効率コヒーレント発光素子として有望である。これまでに均一なバルク利得材料や多量子井戸/ディスクを用いたナノワイヤーレーザーがいくつか実証されているが、しきい値電流、微分利得、変調帯域幅、温度敏感性に関するデバイス性能を向上させるには、より低次元の量子ナノ構造体をナノワイヤーに組み込むことが重要である。量子ドットは、こうした要件を満たす有用かつ不可欠なナノ構造体である。しかし、1本のナノワイヤーの中で量子ドットを積層させることが難しいため、レーザー発振動作の実現が阻まれている。今回我々は、ナノワイヤー共振器を適切に設計し、各量子ドットの発光エネルギーを調節して光学利得を高めることによって、50個の量子ドットを組み込んだ単一ナノワイヤーの室温レーザー発振を実証している。今回の実証結果は、集積フォトニックシステム用の超低消費電力・超小型レーザーの実現に向けて道を開くものである。