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金属型単層カーボンナノチューブにおけるラッティンジャー液体プラズモンの観測
Nature Photonics 9, 8 doi: 10.1038/nphoton.2015.123
伝導電子の集団振動である表面プラズモンは、フォトニクスとエレクトロニクスのナノスケールでの統合に役立つと期待されている。しかし、強い空間閉じ込め、高いQ値、低分散を同時に示す、広帯域プラズモン導波路を実現することは難しいため、プラズモンに基づくナノフォトニック回路の実現は阻まれていた。極めて微小な金属ナノ粒子中のプラズモンや、トンネル効果の影響を受けるプラズモンなどの、電子の量子力学的効果が支配的な役割を果たす量子プラズモンは、ナノ構造の中の新しいプラズモン現象につながり得る。今回我々は、カーボンナノチューブにおける一次元ディラック電子のラッティンジャー液体は、古典的プラズモン励起とは質的に異なる振る舞いをする量子プラズモンとなることを示す。このラッティンジャー液体プラズモンは、キャリア濃度や励起波長に依存しない「量子化」された速度で伝搬すると同時に、並外れた空間閉じ込めと高いQ値を示す。こうしたラッティンジャー液体プラズモンによって、サブ波長のスケールでの光の操作のための新たな低損失プラズモン回路を実現できる可能性がある。