Review Article

RNA療法:RNA干渉とアンチセンス・オリゴヌクレオチドを超えて

Nature Reviews Drug Discovery 11, 2 doi: 10.1038/nrd3625

RNAと配列特異的に塩基対合する各種オリゴヌクレオチドを用いたRNAベースの治療技術は3種類あり、今回はこれらの治療技術の作用機序および効果の違いについて述べる。RNA干渉およびアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、標的mRNAの酵素依存的な分解を誘導し、遺伝子発現を抑制する。立体妨害作用のあるオリゴヌクレオチドは、RNAを分解することなく、細胞の装置がmRNA前駆体およびmRNAへ接近することを妨げる。この機序を利用することで、立体妨害性オリゴヌクレオチドにより、選択的スプライシング、損傷したRNAの修復、タンパク質産生の回復、あるいは遺伝子発現の抑制を変化させることができる。さらに、このようなオリゴヌクレオチドは、さらなる薬効を持たせるために化学的修飾することができる。RNA妨害性オリゴヌクレオチドは、遺伝子機能を修復する能力を有するため、遺伝子疾患の治療に最適と考えられる。例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療に関する臨床試験では良好な結果が得られており、間もなくこの技術が臨床的に有効な治療法となる日も近いであろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度