Review Article
低酸素シグナルを標的として虚血性疾患や炎症性疾患を治療する
Nature Reviews Drug Discovery 13, 11 doi: 10.1038/nrd4422
低酸素誘導因子(HIF)は、炎症性腸疾患、病原体感染、急性肺障害などに関連した有害な炎症過程の間や、虚血再灌流障害が起きている間、安定化している。HIFの安定化と遺伝子発現の低酸素誘導性変化は、炎症の起きた組織の微小環境と疾患の予後に非常に大きな影響を与える。HIFの安定化が始まる機構はさまざまと考えられるが、HIFの安定化を制御する最終的な分子段階は、酸素感受性の一群のプロリルヒドロキシラーゼ(PHD)に収束する。PHDは、HIFにプロテアソーム分解の目印を付ける。従ってPHDは、有望な治療標的である。本稿では、炎症性疾患と虚血性疾患でPHD–HIF経路を治療標的とする新しい可能性およびそれに関連する課題について論じる。