Analysis
抗がん剤創薬における表現型スクリーニングの過去、現在、そして未来
Nature Reviews Drug Discovery 13, 8 doi: 10.1038/nrd4366
創薬分野では、標的に焦点を合わせた手法に代わる手段として、表現型スクリーニングの利用に対する関心が再び大きくなっている。腫瘍学は現在最も活発な治療研究領域であり、また、この分野では標的に焦点を合わせた手法が過去20年間に特に際立った方法の1つであることを前提として、我々は過去15年間に米国食品医薬品局(FDA)によって承認された全ての新規低分子抗がん剤および現在臨床開発段階の低分子抗がん剤の由来を解析することで、がん領域の創薬に対する表現型スクリーニングの寄与度を調べた。これらの抗がん剤の大部分は標的に基づいた創薬から出発していたものの、我々は、かなりの数の創薬が表現型スクリーニング手法に依存していたことを見いだした。抗がん剤の創薬に対する表現型スクリーニングの寄与を妨げてきたのは、細胞毒性や有糸分裂停止のような「古典的な」非特異的な薬剤の作用への依存であり、この依存は、機構が定義された、治療へと翻訳可能ながん表現型の細胞モデルの不足によって一層大きくなったと考えられる。しかし、このような機構的な情報に基づいた表現型モデルを可能にする技術的な進歩と生物学的な進歩が、腫瘍学分野において表現型による創薬に活力を与える可能性がある。