創薬および薬物送達において鉄代謝を標的とする

鉄は、ヒトの生理機能に不可欠なさまざまな生化学的過程において中心的な役割を果たしており、このため鉄の適切なプロセシングは非常に重要である。鉄の代謝は、比較的厳密な生理学的制御を受けるが、がんや神経変性疾患などさまざまな機能障害が、最近になって鉄の恒常性維持の調節解除と関連付けられるようになった。従って、鉄の代謝は、こうした疾患の新しい薬理学的治療を開発するための有望だがほとんどが利用されていない治療標的を構成している。鉄代謝を標的としたいくつかの治療薬は血液疾患を対象としてすでに臨床評価段階にあり、これらの治療薬および新たに開発された治療薬は、鉄代謝関連疾患の臨床管理にかなり効果がありそうだが、こうした疾患に有効な治療法は現在のところほとんどない。