Review Article
プロテインキナーゼ阻害薬が標的とするキナーゼ以外の分子
Nature Reviews Drug Discovery 16, 6 doi: 10.1038/nrd.2016.266
多数のプロテインキナーゼ阻害薬が標的とするキナーゼは、キノームワイドなプロファイリングのプラットフォームによって網羅的に明らかにされている。これに対してキナーゼ以外の分子もキナーゼ阻害薬の標的となっていることが最近のプロジェクトで判明し始めている。こうした分子は、この阻害薬に期待された作用に寄与することもあるが、想定外の作用に寄与することもあり、物言わぬ傍観者の役割を果たすこともある。プロテインキナーゼ阻害薬の作用機構を十分理解することは、結果の解釈と非臨床及び臨床的医薬品開発の成功にとって非常に重要であるため、キナーゼ阻害薬が標的とするキナーゼ以外の分子の発見は、キノームだけでなく、キナーゼ阻害薬の薬理学的性質を理解することの重要性をはっきりと示している。本総説では、キナーゼ以外の分子を標的としていることが明らかになったキナーゼ阻害薬について論じ、無傷の細胞における薬剤の標的との結合性を確認するための新しい技術の応用についても論じる。