Review Article
グルタミン酸シグナル伝達を標的とする抗うつ薬:進展と展望
Nature Reviews Drug Discovery 16, 7 doi: 10.1038/nrd.2017.16
大うつ病性障害(MDD)は重度の機能障害をもたらす疾患であり、現在の治療薬の効能は限られている。最近、N-メチル-?-アスパラギン酸型グルタミン酸受容体(NMDAR)アンタゴニストであるケタミンが即効性抗うつ薬として転用され、うつ病性障害の新規治療薬としてのグルタミン酸シグナル伝達調節薬の精力的な研究に拍車がかかっている。本総説では、うつ病治療のためのこうした調節薬の開発における進展を論じ、グルタミン酸標的化抗うつ薬の作用機序を調べた最近の前臨床研究とトランスレーショナル研究を検討する。この種の新薬開発の将来展望に関しては、安全性と耐容性、有効性、用量反応関係、治療機序などの基本的問題が未解決のまま残されている。