Review Article
マクロファージを標的とするがん治療法
Nature Reviews Drug Discovery 17, 12 doi: 10.1038/nrd.2018.169
ほとんどのがんで、マクロファージの固形腫瘍への浸潤は、予後不良と関連し、化学療法抵抗性と相関している。マクロファージは、がんマウスモデルにおいて血管新生を促進し、腫瘍細胞の移動と浸潤、血管内侵入を増進し、抗腫瘍免疫を抑制することで、がんのイニシエーションと悪性のプログレッションを促進する。マクロファージは、転移部位では、腫瘍細胞の血管外遊出と生存、その後の増殖を促進する。こうした腫瘍促進活性の1つ1つは、標準的なマーカーを発現するが独自の転写プロファイルを有する、マクロファージの亜集団によって促進される。そのため、腫瘍関連マクロファージ(TAM)は、ヒトのがん治療の優れた標的とされていて、TAMの除去あるいは腫瘍促進状態から抗腫瘍状態へのTAMの再分化が行われている。本総説では、TAMを標的とする治療法の最先端を評価し、特に、さまざまな治療法の欠点と潜在的副作用、例えば、毒性とリバウンド効果、代償機構について重点的に取り上げる。そして、臨床施設で使用されるさまざまな種類の治療法と既知のマクロファージの生物学的性質に照らした問題点を広範に概説し、TAMを標的とした新しい治療法を提案する。