Review Article
ありふれた病理に対する治療標的としてのミトコンドリア
Nature Reviews Drug Discovery 17, 12 doi: 10.1038/nrd.2018.174
ミトコンドリア病の治療薬の開発は主として、ミトコンドリアDNAの変異あるいはミトコンドリアタンパク質をコードする核内遺伝子の変異によって引き起こされる疾患に焦点が合わられてきたが、ミトコンドリアの機能不全は、神経変性、代謝疾患、心不全、虚血再灌流障害および原虫感染など、多数のありふれた疾患の病理の一因であることが分かってきた。従ってミトコンドリアは、広くまん延しているこうした疾患に対する治療薬の重要な標的となっている。ミトコンドリアの機能を治療によって回復させることを目標とした戦略がいくつか登場してきており、一部の薬剤は臨床試験に入ったところである。本総説では、ありふれた疾患の病理に対するミトコンドリア薬理のさらなる開発に向けて、直面している機会および課題について論じる。