Review Article
がん免疫療法薬のための送達技術
Nature Reviews Drug Discovery 18, 3 doi: 10.1038/s41573-018-0006-z
免疫療法薬は、がん治療の強力な臨床的戦略となっている。免疫療法薬の承認件数は増えており、多数の治療薬の臨床・前臨床開発も行われている。しかし、免疫療法薬には、自己免疫疾患、非特異的炎症などの重篤な副作用があるため、がん治療に幅広く実施するためには免疫系の制御された調節が重要課題であることは変わらない。さまざまなクラスの免疫療法薬に対する反応率を高める方法の解明が、免疫療法薬の有効性を向上させ、これらの副作用を制御するカギを握っている。ナノ粒子などの先端生体材料とT細胞を用いた治療薬送達法などの先進的な薬剤送達系は、免疫療法薬に有効利用して、その効果を高めつつ、有害な副作用を軽減できる可能性がある。本論文では、こうした研究の進展だけでなく、送達技術をがん免疫療法薬に組み込むことで何が期待されるのか、課題は何なのかについても論じ、この新興分野の前途を批判的に分析する。