Review Article
免疫学的に「熱い」腫瘍と「変化した」腫瘍と「冷たい」腫瘍を併用免疫療法によって治療する手法
Nature Reviews Drug Discovery 18, 3 doi: 10.1038/s41573-018-0007-y
免疫療法薬は、開発が最も急速に進んでいる医薬品のクラスであり、腫瘍学に大きなインパクトを与え、ヒトの健康に大きな影響をもたらしている。免疫調節戦略の有効性は免疫応答のベースライン値の存在と既存の免疫の解放に依存していることが、次第に明らかになってきている。そのため、抗腫瘍応答ではエフェクターT細胞が中心的役割を果たしているという点で、大方の合意が得られている。また、免疫学における最近の技術的進歩、解析の進展、機構研究の前進により免疫療法に反応する可能性の高い患者を特定できるようになった。本総説は、「熱い」「変化した」「冷たい」腫瘍の定義、腫瘍の微小環境の複雑性、腫瘍の免疫スコアと免疫構造に焦点を合わせ、免疫チェックポイント阻害薬を含む併用免疫療法を用いて、これらの腫瘍を治療する手法について説明する。来るべき併用免疫療法の時代には、「熱い」「変化した」「冷たい」腫瘍の原因となる機構を解明して、弱い抗腫瘍免疫を増強することが重要になる。免疫学的に「冷たい」腫瘍を「熱い」腫瘍に転換する免疫応答に対する併用免疫療法の影響についても論じる。