Review Article
質量分析を用いたプロテオミクスが創薬で果たす新たな役割
Nature Reviews Drug Discovery 21, 9 doi: 10.1038/s41573-022-00409-3
タンパク質は、大部分の医薬品の主たる標的である。しかし、システム全体でタンパク質の活性と機能を監視する方法は、創薬ではまだ十分に活用されていない。いくつかの新しい生化学的手法が、質量分析を用いたプロテオミクス解析機器とデータ解析パイプラインの最近の開発と組み合わさって、前例のない分解能と次元で疾患表現型と生物活性分子による疾患表現型の調節を詳細に調べることを可能にした。本総説では、標的の特定と検証を行うためのプロテオミクス手法とケモプロテオミクス手法、さらに、安全上のハザードの特定についても述べる。また、創薬の初期段階においてプロテオミクス手法を用いて選択的タンパク質分解や反応性フラグメントの利用などの独自の識見を生み出すための革新的戦略を論じ、成功にとって非常に重要な実験戦略のための指針を示す。