Perspective
製薬業界における調査毒性学の役割の進化
Nature Reviews Drug Discovery 22, 4 doi: 10.1038/s41573-022-00633-x
前臨床毒性学は、ここ数十年間、基本的に記述科学の分野の1つとして、治療法に関連した効果が注意深く報告され、薬剤候補の安全域を算出するための基礎として利用されてきた。しかし、近年、技術の進歩により、研究者が毒性機構に関する知見を得ることが多くなり、前臨床研究の目的やヒトへの応用可能性との関連性の高い動物種の選定、安全性に関わる事象の予測、副作用の軽減、安全性バイオマーカーの開発についての理解が深まっている。その結果、調査毒性学(あるいは機構毒性学)が勢いを増しており、現在では製薬業界における重要な機能の1つとなっている。本論文では、症例研究を用いてこの分野の現状を概観し、ヨーロッパに拠点を置く14社の中堅製薬会社と大手製薬会社の調査毒物学者の調査に基づいて現在進行中の技術開発によって起こり得る影響を論じる。