Review Article
制御された非アポトーシス細胞死を標的とする治療法の可能性
Nature Reviews Drug Discovery 22, 9 doi: 10.1038/s41573-023-00749-8
細胞死は、ほぼ全ての多細胞生物の発生と恒常性にとって極めて重要である。また、細胞死の制御異常は、さまざまな病態をもたらす。かつてアポトーシスは、主要な制御された細胞死経路と考えられていたのに対し、ネクローシスは、制御されない細胞死の形態と考えられていた。しかし、ここ数十年間の研究で、変性疾患、炎症性疾患とがんに関係するいくつかの制御された形態のネクローシスが発見された。このような制御された非アポトーシス細胞死の経路に関する知見が増えたことで、標的治療法の新たな道が開かれた。本総説では、ネクロプトーシス、パイロプトーシス、パータナトス、フェロプトーシス、クプロプトーシス、lysozincrosisとジスルフィドプトーシスの制御経路を述べる。また、これらの経路の低分子阻害剤と創薬の将来展望についても論じる。これらの経路を支配する複雑な機構を総合することで、非アポトーシス細胞死を制御する治療法を開発する戦略が得られる。