Perspective
創薬におけるQSARモデル化と深層学習の融合:深層QSARの登場
Nature Reviews Drug Discovery 23, 2 doi: 10.1038/s41573-023-00832-0
60年前に導入された手法である定量的構造活性相関(QSAR)モデル化は、コンピューター支援による薬物設計に広く用いられている。近年、人工知能の各種手法の進歩、例えば深層学習、仮想スクリーニングのための分子データベースの急成長や計算能力の劇的な向上が、「深層QSAR」と呼ばれるQSARの新しい応用分野の登場を支えてきた。本総説では、低分子創薬に関係するタスクへの深層QSARの先駆的応用から10年たったことを記念して、この分野における重要な進歩を論じる。例えば、分子設計における深層生成学習法および深層強化学習法、合成計画のための深層学習モデルならびに構造に基づいた仮想スクリーニングにおける深層QSARモデルの応用である。また、我々は、深層QSARの応用をさらに加速することが有望視されている量子コンピューティングの登場を考察し、さらにコンピューター支援による薬物設計をサポートするためにオープンソースの民主化された情報資源が必要なことも論じる。