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2019年11月号Volume 16 Number 11
結晶作りの2人の巨匠
始まりは、谷口尚(たにぐち・たかし)が作製した結晶の副産物に、渡邊賢司(わたなべ・けんじ)が目を留め、拾い上げたことからだった。今や、グラフェンのエレクトロニクス研究に欠かせない、2人が生み出す「六方晶窒化ホウ素」の結晶。彼らの結晶の品質の高さは群を抜いているため、世界中の物理学者から求められ、共著者として名を連ねた論文は700本を超える。
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若手研究者支援の新たな取り組み
Editorial
Publishing Academy
学術界サバイバル術入門 — Training 11:学会発表 ②
前回は、印象的なポスターを作るための要点を説明しました。今回は、スライドを使った口頭発表での注意点と、口頭発表を印象的なものにするのに役立つスキルについてお話しします。
News in Japan
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150 years of Nature anniversary articles
Nature の創刊号は、1869 年11月に発行されました。Nature の歩みから、科学の発展と、社会における科学の役割の変遷を知ることができます。創刊150周年を記念したNature 特別記事の日本語要約(第2部)をお届けします。
News
がん細胞に脳神経を乗っ取る能力
驚くべき発見により、いくつかのアグレッシブな腫瘍を治療する道が開けるかもしれない。
帝王切開児は重要な腸内微生物を持っていない
分娩様式によって新生児のマイクロバイオームが変わる可能性があることを示す、これまでで最も確実な証拠を英国の研究チームが発表した。ただし、その健康への影響は不明である。
初期人類「ルーシー」の起源に新説
2016年にエチオピアで発見された380万年前のヒト族の頭蓋骨化石によって、初期のヒト族の進化系統樹がこれまで考えられていたより複雑な形であることが示唆された。
炭素だけからなるリング状分子の合成・単離に成功
18個の炭素原子がリング状につながったシクロカーボンが合成・単離され、その構造が初めて調べられた。この分子は半導体の性質を持つと予想されており、エレクトロニクスへの応用が期待される。
CRISPRを利用した刺激応答性ゲル
遺伝子編集ツールで作動させる刺激応答性材料が報告された。このスマートマテリアルは、薬剤の送達や、特定の生体分子の検知への応用が可能という。
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真核生物の起源を暗示するアーキアの培養に成功!
日本の科学者たちが、アスガルド類アーキアの培養に世界で初めて成功した。このアーキアは、かつて真核生物へと進化を遂げた細胞に似ている可能性がある。
超重力理論に特別ブレイクスルー賞
現実をよく記述するとはいえないが今日の物理学に多大な影響を及ぼした理論を提唱した3人の物理学者に2020年基礎物理学特別ブレイクスルー賞が贈られた。
100万人ゲノム解析計画に遺伝カウンセリングを本格導入
米国政府主導の大規模ゲノム解析計画を運営する米国立衛生研究所は、遺伝カウンセリング企業と提携して参加ボランティアを支援することを発表した。
News Feature
結晶作りの2人の巨匠
物質・材料研究機構の谷口尚と渡邊賢司が作り出す、極めて高品質の六方晶窒化ホウ素結晶が、近年目覚ましい発展を遂げているグラフェンのエレクトロニクス研究を支えている。
News & Views
木星の低密度コアは巨大衝突の証拠?
木星の低密度の中心核は、木星が形成される最終段階に、天王星ほどの質量の原始惑星が木星に衝突した結果かもしれないことがシミュレーションで分かった。この結果は、巨大衝突は惑星の形成期には頻繁に起こっている可能性を示している。
植物が塩を感知する仕組み
土壌中の高濃度の塩は、植物の成長に有害であり作物の収量を制限する。塩の感知、および耐塩性を導くカルシウムシグナルの発生に、塩と結合する膜脂質が極めて重要であることが明らかにされた。
自己免疫疾患を抑制する制御性CD8 T細胞
CD8 T細胞と呼ばれる免疫細胞は、通常、病原体を殺傷するが、今回、自己反応性CD4 T細胞を抑制する亜集団の存在が示された。この細胞集団は、マウスを自己免疫疾患から防御していた。
ニッケル酸化物の超伝導
銅酸化物の超伝導の原因は、磁性だけであると考えられていた。今回、銅酸化物に結晶構造が似た非磁性化合物において超伝導が見いだされ、こうした考えに疑問が投げ掛けられた。
News Scan
我が子を遠くへ運ぶカエル
近くの水たまりをパスして父ガエルは遠くの池を目指す。
サソリ毒の秘密
危険な感染症の治療に使えそう。