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2021年11月号Volume 18 Number 11
mRNAワクチン完成までの長く曲がりくねった道
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミック下において、大きく飛躍したmRNAワクチン。この研究は、実は何十年も前から行われていて、数百人もの科学者によって一歩一歩積み重ねられてきた。というのも、RNAは著しく不安定で、ワクチンとして利用することは不可能だとされてきたからだ。
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【広告記事】世界を見尽くす理論の発見
Editorial
Publishing Academy
学術界サバイバル術入門 — 助成金を申請する③:研究課題の準備(前編)
申請書の作成に当たり、「研究課題」と「目的」を練り上げていきましょう。あなたの申請書が審査委員の目に留まるものになるための、重要なポイントをお話しします。
News in Focus
1本の牙に刻まれた、あるケナガマンモスの長い旅の記録
約1万7100年前のケナガマンモスの牙の化学分析によって、このマンモスの一生分の移動パターンが明らかになった。
クォーク4個からなるエキゾチックな粒子をLHCで発見
クォーク4個からなる粒子「テトラクォーク」の新種がLHCで発見された。強い相互作用の理論の検証に役立ちそうだ。
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新型コロナウイルスは動物からヒトへと2度ジャンプした?
初期のSARS-CoV-2ゲノムに関する未検証の分析結果から、今回のパンデミックの起源は2系統のウイルスに由来し、動物からヒトへの感染が複数回起こった可能性が高いとしている。
アフリカの言語で科学を論じる
一般的な科学用語の多くは、アフリカの言語で表記することができない。アフリカ各地の研究者たちが、そんな状況を変えようとしている。
Feature
Japanese Author
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DOK7型先天性筋無力症の治療への道を開く抗体の開発に成功!
神経と筋肉のつなぎ目には多様なタンパク質が集積していて、神経筋シナプスの形成と維持に寄与している。これらのタンパク質をコードする遺伝子に変異があると、先天性筋無力症(CMS)という深刻な神経筋疾患が引き起こされる。小出昌平・ニューヨーク大学医学部教授らは、DOK7と、DOK7が結合することで安定化するタンパク質MUSKの構造と機能を詳細に解析し、DOK7変異によるCMSの発症機序を解明。さらに、得られた知見に基づき、機能異常を救済する抗体の作製にも成功した。
News & Views
民主主義と専門知識をつなぐ市民会議
市民会議を構成する代表人をより公正に選択するための 革新的なアルゴリズムが報告された。そのように選出された人々からなるグループは、民主主義と専門知識の間のギャップを埋める助けになりそうだ。
ロイシンが重要なシグナル伝達を調節する仕組み
細胞は栄養素を感知することにより、現在置かれている状況に合わせて増殖を調整できる。今回、タンパク質複合体であるmTORC1によって、特定のアミノ酸のレベルに合わせて細胞の増殖を調整できることが明らかになり、特にロイシンを感知してmTORC1が活性化される仕組みがより明確になった。
暗闇に浮かび上がった1つ1つの化学反応
溶液中で電気化学的に励起された個々の分子の発光反応が直接撮像された。この方法は、外部光源を必要としないため感度が高く、細胞の撮像では、標識付けせずに鮮明な画像を得ることができる。
腫瘍が化学療法を回避する仕組みを根気よく調べる
化学療法への抵抗性がどのように生じるかを理解すれば、より優れた抗がん剤治療につながる可能性がある。化学療法抵抗性には、化学療法を生き延びた腫瘍細胞である持続生残細胞が関与していると考えられている。今回、細胞の特徴を詳細に評価する方法が開発され、これによって持続生残細胞の起源が明らかになった。
Advances
検査もできる使い捨てマスク — COVID-19対策にうってつけ
マスク着用と検査は 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の要だが、この2つをまとめて実行するデバイスが登場しそうだ。ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(いずれも米国)の研究者が合成生物学の技術を使って、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)を正確に検出するマスクを作った。