2024年8月号Volume 21 Number 8
運動はどうして体に良いのか
運動をする人が健康で長生きすることは、この数十年間に積み上げられた証拠によって裏付けられている。研究者たちは今、運動が細胞にどのように働き掛けることで、これらの恩恵をもたらしているのかを解明し始めている。
Editorial
News in Japan
Free access
ジョン・ペンドリー氏、ポール・F・ホフマン氏、ウィリアム・フォーサイス氏に京都賞
2024年の京都賞は、メタマテリアルの理論を構築したジョン・ペンドリー氏、全球凍結やプレートテクトニクスを実証したポール・F・ホフマン氏、舞踊の技法と美学を刷新し身体表現の新たな地平を開いたウィリアム・フォーサイス氏に贈られる。
News in Focus
12.5 kmの量子もつれを大都市で生成
大都市の10 km以上離れた拠点間で、光ファイバーを通して量子もつれを作る実験が行われた。
胎仔から胎仔への移植がラットで初めて実証された
移植された組織は機能する腎臓へと発達し、尿を産生した。
米国の乳牛における鳥インフル:どこで終わるのか?
研究者らは、鳥インフルエンザH5N1ウイルスがウシの風土病となるのではないかと懸念している。
Free access
AlphaFoldの最新版は創薬を後押し
ディープマインド社のAIツール「AlphaFold」の最新版は、タンパク質が他の分子と相互作用する際の構造をモデル化することができるが、このツールへのアクセスは制限されている。
中国版ChatGPTはAIに何をもたらすか
中国では現在、中国語AIモデルの開発が猛スピードで進められていて、数百の言語モデルがひしめいている。その筆頭に挙げられるChatGLMは、多くの点でChatGPTに迫る性能を達成していると開発者は言う。
Features
ChatGPTの「思考過程」を探る
研究者たちは人工知能をリバースエンジニアリングし、大規模言語モデルの「脳」をスキャンして、これらが何を、なぜ、どのようにして行っているかを解き明かそうとしている。
急増する子どもの近視をどう防ぐか?
近視を防ぐには屋外で長く過ごすことが最も効果的だが、さまざまな理由により実行するのは難しいことが多く、それ以外の方法も模索されている。
運動が細胞に、そして健康全般に良い影響を及ぼすメカニズム
運動をする人が健康で長生きすることは、この数十年間に積み上げられた証拠によって裏付けられている。研究者たちは今、運動が細胞にどのように働き掛けることで、これらの恩恵をもたらしているのかを解明し始めている。
老化を招く「ゾンビ細胞」の退治法
新たな分子や改変免疫細胞、遺伝子治療によって老化細胞を殺傷して加齢関連疾患を治療する研究が進められている。
Japanese Author
Free access
光合成進化の謎に迫る、新規の光合成細菌を同定!
約40億年前に誕生したとされる生命。繁栄に至ったカギは、光合成細菌の出現にある。海洋研究開発機構(JAMSTEC)超先鋭研究開発部門のジャクソン・マコト・ツジ博士は、未知の光合成細菌の探索と解析を進め、新規の光合成細菌を発見。今まで見落とされてきた光化学系進化の重要な知見を見いだした。一連の成果は、光合成細菌研究に新たな局面をもたらしている。
News & Views
抗肥満薬が食欲をつかさどる神経回路を再配線する
2つの機能を併せ持つ抗肥満薬が、食欲と報酬をつかさどる神経回路に作用する。この薬は、現在使われている抗肥満薬よりも強い効果が長く続くことが証明されるかもしれない。
DNA変異がなくても腫瘍は形成される
一過性で可逆的な遺伝子サイレンシング機構の抑制により腫瘍が不可逆的に形成され得ることが、ショウジョウバエにおいて示された。この結果は、がんが生じるのはDNAの永続的な変化によってのみだという考えに疑問を呈している。
捕らえられたプロメチウム
まれな放射性元素である61番元素プロメチウムの化学は、その希少性と取り扱いの難しさから、長く謎に包まれてきた。今回、プロメチウムの錯体が合成されたことで、この知識のギャップが埋められた。
Advances
マクロファージの食欲増進
がん細胞を貪食するように遺伝子を操作。
Where I Work
Basran Burhan
Basran Burhanは、グリフィス大学(オーストラリア・ブリスベン)の博士課程学生。