注目の論文
リジンに新発見
Nature Chemical Biology
2010年12月13日
A new look for lysine
アミノ酸リジンに関して、これまで知られていたようにただ正電荷を隠すだけではなく、負電荷を導入する新たな修飾が発見された。Nature Chemical Biology(電子版)で発表されるその研究成果は、タンパク質機能の大変化がこの修飾によってもたらされている可能性を示唆している。
細胞の機能は、タンパク質がリボソームによって作られた後で、「翻訳後」レベルを含むさまざまなレベルで制御されている。そうした修飾は、タンパク質に小さな官能基または代謝物が共有結合することによるのが一般的である。
広く存在するアミノ酸の一種であるリジンは、特有の化学的反応性をもつため、そのような修飾の標的となることが多い。アセチル基が結合するアセチル化はよくある種類の修飾で、修飾されたタンパク質の機能に大きな影響を与える場合がある。
Y Zhaoたちは、新たな翻訳後修飾を発見した。それは、代謝物であるコハク酸がリジンに結合して、スクシニルリジンを生ずるものである。研究チームは、質量分析データを利用して、多数のタンパク質および多様な種類の細胞でこの修飾を実証した。アセチル化が単にリジンの通常の正電荷を「隠す」だけであると考えられているのに対し、この新たな修飾は、負電荷を導入することによってタンパク質の機能にはるかに大きな変化を引き起こすことができると考えられる。
doi: 10.1038/nchembio.495
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