注目の論文
抗生物質を手に入れる
Nature Chemical Biology
2011年10月10日
Accessing antibiotics
一般的な抗生物質を細菌が合成する仕組みを理解することによってさらに強力な抗生物質が作製されたという報告が、Nature Chemical Biology(電子版)に寄せられている。細菌が持つこの経路を操作することができれば、細菌への新たな対処法が得られると考えられる。
抗生物質カナマイシンは、細菌に新たな遺伝子を導入するときに、それがうまくいったことを確認するための一般的なレポーターとして、実験室で広く利用されている。カナマイシンはよく使われており、関連する天然物群も自然の合成過程の手がかりとなっているが、細菌がカナマイシンを合成する仕組みは明らかにされていなかった。
今回、J K Sohng、Y J Yoonたちは、この物質を生成する生合成経路全体を明らかにする遺伝学的、生化学的な証拠を示した。意外にも、カナマイシンファミリーの物質は、ある酵素が制御する2本の並列的な経路を利用して合成されていることがわかった。この重要な酵素を置換したり経路の末尾に別の酵素を挿入したりすると、この物質の構造は変化させることができ、臨床的に有用な物質であるトブラマイシンおよびアミカシンを生成する細菌の経路が得られた。このようにして得られた物質の1つである1-N-AHBA-カナマイシンXは、アミカシンをも上回る活性を示すことがわかり、これが細菌感染の予防に重要なツールとなる可能性が示唆された。
doi: 10.1038/nchembio.671
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