注目の論文
チベットの永久凍土土壌への炭素吸収
Nature Geoscience
2017年5月9日
Carbon uptake in Tibetan permafrost soils
気候変動はチベット高原の永久凍土の土壌上層における炭素吸収の増加をもたらしているとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。この研究は、このような上層における炭素隔離は、現在溶けている永久凍土深部層からの炭素放出を相殺することに役立つ可能性があることを示唆している。
世界中で最大の高山永久凍土地帯であるチベット高原を含む凍結した永久凍土の土壌には、数千年にわたり大量の炭素が保存されてきた。気温の上昇により永久凍土は融解していることが示されており、このような炭素には大気に放出されるものもある。しかしながら、最近の数十年間の永久凍土地域における炭素吸収と損失の釣り合いに対する温暖化の影響についてはよく分かっていない。
Yuanhue Uangたちは、2000年代初期と再度2010年代初期にチベット高原全体の永久凍土中の炭素保存量を測定した。彼らは地表直下の土壌中に保存された炭素は、高原が温暖化を被った時期に時間と共に増加していたことを発見した。彼らは、炭素保存量が増加したのは、おそらく気候変動がこの地域の植物の成長を強化したことの結果であると示唆している。
チベット高原の永久凍土土壌への炭素蓄積は大気中のCO2濃度上昇に対する負のフィードバックを表しており、気候変動の速度を緩やかにすることに役立つ可能性がある。
doi: 10.1038/ngeo2945
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