宿主の巣に托卵するために雌のカッコウはタカの鳴き声をまねる
Nature Ecology & Evolution
2017年9月5日
Crafty cuckoos mimic hawks to plant eggs in host nest
雌のカッコウはタカをまねることによってヨーロッパヨシキリをかつぐ、という論文が、今週掲載される。その研究は、ヨシキリの巣に産卵した雌のカッコウが、タカのような鳴き声を発することによってヨシキリの注意をそらし、産み付けたカッコウの卵が気付かれにくくなるようにしていることを明らかにした。 雄のカッコウの鳴き声はなわばりを守る役割を果たすと考えられているが(カッコウの名前のもとになっている有名な「カッコー」という鳴き声は、雄だけが発する)、雌のカッコウの鳴き声(笑い声のような声であることから「チャクル」や「バブル」として知られる)の役割は謎に包まれている。しかし、その声は、ヨシキリの捕食者であるハイタカの鳴き声に似ている。
Jennifer YorkとNicholas Daviesは、宿主の巣に産卵した雌のカッコウが、悪事への注意を引くリスクがあるのに派手に鳴く理由を調べた。2人は、雌雄のカッコウ、ハイタカ、そして無害な対照のシラコバトの録音した鳴き声をヨシキリに向かって再生し、ヨシキリの行動を観察した。 その結果、ヨシキリは、タカに対するのと同じ高度な警戒を示して雌のカッコウの鳴き声に反応し、抱いている卵から自身の安全へと注意を転じたが、雄のカッコウとシラコバトの鳴き声には反応しなかった。続いて、ハイタカに捕食されるがカッコウによる托卵を受けない別種の鳥(シジュウカラ科)による別の鳴き声を再生した。シジュウカラ科鳥類は、雌のカッコウの鳴き声に対し、ハイタカに対するのと同じ反応を示したことから、警戒行動の誘発は雌のカッコウとハイタカの鳴き声の類似性によるものであることが示唆された。 この研究結果は、カッコウ亜科の托卵種には雌雄で鳴き声が異なるものが多いという事実と合わせて、托卵を行うカッコウの生活様式では性特異的な鳴き声が重要な要素となっている可能性を示唆している。
doi: 10.1038/s41559-017-0279-3
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