注目の論文
ブドウの歴史
Nature Plants
2019年6月11日
The grapevine through time
フランスのブドウの遺伝的祖先を明らかにした論文が、今週掲載される。この研究は、何百年も前に栽培されていたブドウ品種の一部が現在も使用されていることを示している。
ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)は6000年前に初めて栽培化され、クローン化によって栽培されることが多い。このため、種子が手に入る限り古くまで、系統をたどることができる。歴史資料によれば、ブドウは紀元前6世紀にギリシャ人によってフランスへ持ち込まれたが、フランス南部の大部分にワイン生産が広がったのは、紀元前1世紀になってローマ人に占領されてからのことであったという。数千品種のブドウが文書記録によって記録または特定されているが、これまで現代の品種をその歴史的祖先と結び付けることは困難であった。
今回、Nathan Walesたちの研究グループは、フランスの考古学的遺跡9か所から得られた28個の種子のゲノムを解析した。その年代は、中世からローマ時代、さらには鉄器時代(紀元前510~475年)までさかのぼる。解析の結果、全ての試料は野生ブドウではなく栽培品種のものであり、現在のワイン生産に使用されている品種に近縁であることが明らかになった。西暦1050~1200年のものとされた試料1点は、現在の「サヴァニャン・ブラン」と遺伝的に同一であることが確認され、この品種がフランスで900年近くにわたって栽培されてきたことが示された。
doi: 10.1038/s41477-019-0437-5
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