注目の論文
干ばつに対処する方法を「記憶」している植物
Nature Communications
2012年3月14日
Plants ‘remember’ how to deal with drought
干ばつに繰り返しさらされた植物は、干ばつのストレスに対処する方法を記憶するという研究結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsにオンライン掲載される。この研究は、複数種のストレス応答遺伝子が「訓練」されて、その活性を水の利用可能性に応じて変えられるようになることを明らかにしている。この発見により、植物が環境の変化に対処する能力を向上させる方法が解明されるかもしれない。 植物は、ストレスにさらされると、その挙動を修正して、繰り返し起こる侵襲への対応を改善できる。例えば、植物は、転写過程によって制御される遺伝子発現パターンを変え、あるいは特定の細胞機能を調節している可能性がある。しかし、こうした「ストレス記憶」に関与する基礎過程は、ほとんどわかっていない。今回、Z Avramovaたちは、シロイヌナズナを干ばつに反復的にさらす実験を行って、シロイヌナズナが、自らの水分保持能力を調節できることを明らかにした。 Avramovaたちは、シロイヌナズナの応答として、遺伝子の特定の一部の転写が増加したことを挙げている。水を利用できるようになる回復期には、これらの遺伝子の転写量は正常なレベルで推移したが、その後の数々の干ばつ期を経たシロイヌナズナは、ストレスに対する転写応答を記憶していた。この新知見は、「過去のストレスの記憶」という考え方を例証している。
doi: 10.1038/ncomms1732
注目の論文
-
7月16日
惑星科学:月の地下に探索できそうな洞窟の通路を発見Nature Astronomy
-
7月11日
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature
-
7月10日
バイオテクノロジー: 培養肉の風味を改善するNature Communications
-
7月9日
ウイルス学:牛H5N1インフルエンザの感染と伝播Nature
-
7月3日
気候変動:加速するジュノー氷原の氷河減少Nature Communications
-
7月2日
考古学:オーストラリアの洞窟に残る1万2000年前の儀式の痕跡Nature Human Behaviour