注目の論文
酸性の海水中におけるムラサキイガイの長期にわたる生存
Nature Geoscience
2009年4月13日
Long-term mussel survival in acidic waters
海底火山近傍のムラサキイガイは極度に酸性の水が存在するにもかかわらず数十年にわたり棲息している、とNature Geoscience(電子版)に発表される。この発見は、大気中の二酸化炭素量の増加から予想される海洋酸化に対する生態系の応答を垣間見る機会を与えてくれる。
V Tunnicliffeらは、太平洋のマリアナ弧の一部である栄福火山でムラサキイガイを研究した。この熱水環境では液体の二酸化炭素が出現し、火山の近傍で海水を平均的な値から顕著により酸性にしている。比較のために、著者らは、より生息に適した海水中にすむ同じ種類のムラサキイガイも観察した。酸性の海水中におけるムラサキイガイの殻の厚さと成長速度は、より典型的な海洋条件下における殻の場合の約半分しかなかった。
ムラサキイガイの天敵であるカニは極度に酸性の環境では、おそらく棲息に適さないために存在していない。天敵がいないことで、ムラサキイガイは、殻が薄いにもかかわらず過去40年にわたり棲息することができたのかもしれない。
doi: 10.1038/ngeo500
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